みなさん、こんにちは。
前回の記事で「ちょっと近未来すぎる話やな」と思われた方もいるかもしれませんが、実はこれ、そう遠くない未来……というか、もう目の前まで来ているお話なんです。AIの進化スピードは本当に凄まじいですよね。
……と、もっともらしい顔をして語っていますが、私自身は有名大学を出た学者でもなければ、最先端のシステム開発者でもありません。毎日現場で汗をかいている、ただの一会社員です。
そんなフツーの「現場のオッサン」である私ですが、社内で使える武器(アプリ開発ツールやBI、AIなど)をあれこれいじくり回しながら、日々泥臭くチャレンジしています。
今回は、まさに前回ご紹介した「理想のAI」を形にするべく、いま私が実際に現場視点でトライしている、かなりリアルなお話をしてみたいと思います。テーマは、どこの会社でも頭を悩ませている「社内文書の作成と、そのチェックにかかる膨大なコストをどう削るか」です。
なぜ管理職のチェック業務はあんなに打合せ化してしまうのか
みなさんの会社でも、現場でトラブルが起きたら「トラブル報告書」や「不具合対策書」といった書類を作りますよね。そして、その文書が完成したら、必ず課長や部長といった管理職のチェック(検印)が入るはずです。
私もいち会社員として、この「チェックする側」の様子をずっと見てきました。そこで気づいた、ある「構造的なムダ」があります。
管理職が本当にやりたいチェックって、 「てにをは」を直すことでもなければ、文字の綺麗さを褒めることでもありません。 本当にやりたいのは、 「このトラブルの根本原因は本当にこれか?」 「再発防止策の切り口はこれで十分なんか?」 という、一歩踏み込んだ『深い検討』のはずなんです。
ところが、実際のチェックの現場はどうでしょう。 部下が持ってきた書類を見て、管理職がこう頭を抱えるシーン、よく見かけませんか?
- 「これ、発生したのって朝の立ち上げ時?それとも定常運転中?」
- 「原因が『設備不良』って書いてあるけど、具体的にどのパーツがイカれたん?」
- 「対策の欄に『注意する』って書いてあるけど、それ対策になってへんやん!」
結局、書類の文字面だけでは状況がさっぱり分からず、わざわざ部下を呼びつけて「ちょっと、これどういうことか説明して」と事実確認のヒアリングが始まってしまう。チェックの場が、ただの『泥臭い問答の場』に変貌してしまうんです。
これって、ものすごい時間のロスですよね。管理職は本来の「検討・判断」に時間を使えず、現場の作業員も何度も呼び出されて仕事が止まる。
この問題を根本から解決するにはどうしたらいいか。私がたどり着いた結論はシンプルでした。 「管理職がチェックする段階になってから揉めるんじゃなくて、そもそも最初の入力段階でデータの精度を100%に近づけたらええやん」 ということです。
それを、人間の手ではなく、AIの力を借りてシステム的に自動で行う。これが、今回私が企んでいる仕掛けの全貌です。
今回挑戦する「生成AIの要件」

今回私が現場に導入しようと裏でコソコソ開発している仕組みは、一言で言うと「打てば打つほど響く、聞き上手なAI」です。トピックとしては、大きく分けて次の3つの動きを目指しています。
要件①:生成AIに質問を投げると、逆に質問を投げ返してくる
こっちから「トラブル報告書を作って」と一言投げたら、AIが「分かりました!」と勝手にそれっぽい内容を脳内で捏造して書類を作る……これじゃあ業務では全く使えませんよね。まずはAIが「分かりました。では、何が起きたのか詳しく教えてください」と、こちらに伴走するように質問を返してくる。ここが出発点です。
例:報告書の必要欄を順に教えてくれるマニュアルチックな動作です。
要件②:「逆質問」で情報不足を徹底的に補い、精度を爆上げする
人間側の最初の入力が「今朝、ラインAのコンベアが止まった」だけやったら、AIがすかさず「発生した具体的な設備は何ですか?」「原因は設定ミスですか、それとも経年劣化などの物理的な不具合ですか?」と、足りない情報をピンポイントで逆質問してきます。対話を重ねることで、管理職が後から突っ込みたくなるような「ヌケ・モレ」を、入力の時点で完全に潰すわけです。
例:必要欄の回答精度を上げる確認をさせる動作です。
要件③:質問形式のやり取りのまま、一気に書類作成まで繋げる
現場の人間は、AIとチャットで「ええ感じのキャッチボール」をしているだけ。難しいことは何も考えていません。しかし、気づけば裏側でデータが完璧に揃っている状態を作ります。そして最後の仕上げに、そのやり取りの内容をそのまま、カッチリとした社内指定フォーマットの書類へ自動で落とし込む。ここまでをワンストップで繋げます。
全体を整理してみる(設計の核)
この仕組み、ただAIのチャット画面をポンと置くだけでは絶対に動きません。裏側で、我々現場人間が緻密な「設計」をしてあげる必要があります。ある特定のITツールを使って、私が頭の中で整理した設計図がこちらです。
① 質問設計(=データモデル設計) 👉 ここが最重要!
考え方の基本は、「AIに何を聞かせたいか」ではなく「最終的にどんなデータを蓄積し、管理職に届けたいか」です。 後からBIツールで分析したり、月次のグラフにしたりする未来を逆算して、項目をあらかじめガチガチに定義しておきます。データベースの「列」をどう作るかが、そのままAIの質問項目(データモデル)になるイメージですね。
【トラブル報告のデータ定義例】
- 原因分類(必須): なぜ起きたか(ヒューマンエラーか設備か)
- 発生場所・設備: どこで、何の機械で起きたか
- 発生日時: いつ起きたか
- 対応状況(未対策/完了): 今現在、どうなっているか
- 影響度: 生産ラインへのダメージはどれくらいか
② 質問の粒度・順序設計
一気にすべての項目を質問攻めにしたら、入力する現場人間は「めんどくさ!」となって画面を閉じちゃいます。社内の資料作成でも同じですが、「思考の順番を正しく指示してあげると、人間の入力精度も上がる」のです。 だから、無機質な入力フォームではなく、流れるような「対話フロー」にします。
- 「まずは、どんなトラブルが起きたか教えてください」
- (回答を受けて)「なるほど。原因は次の選択肢の中やとどれに近いですか?」
- 「その対策はもう実施済ですか?」
- (未完了なら)「未完の理由はなんです?」
このように、ステップバイステップで小さく聞いていくのがポイントです。
③ 分岐ロジック(単なるアンケートとの決定的な差)
相手の回答に応じて、AIが次の質問を柔軟に変えていきます。
- 「対策は未完了です」と答えたら ── 「いつまでに完了する予定ですか?ボトルネックは何ですか?」 と深掘りする。
- 「設備不良」と答えたら ── 「具体的な設備名や、エラーコードは分かりますか?」 と絞り込む。
- 「ヒューマンエラー」なら ── 「当時の作業手順書に不備はなかったですか?」 と背景を聞く。
この臨機応変さこそが、従来のWEBフォームには逆立ちしても真似できない「生成AIならではの本当の価値」です。
④ 定量化・選択肢化
誰が使っても同じ認識になるように、データをできるだけ「定量化」します。自由記述が多すぎると、人間によって書き方がバラバラになり、後で管理職が読んだ時に「結局どういうこと?」となりますし、データ分析もできなくなってしまいます。 「基本は選択肢を選ばせて、詳細は自然文で補足してもらう」という、後工程を大前提とした綺麗なデータ作りを徹底します。
⑤ データ構造化ルール(AIの本領発揮)
ここはAIに一番楽をさせてもらう部分です。 現場の人間が「今日の朝の立ち上げのときにさ、ちょっと設定ミスっちゃってライン止まったわー」と、普段通りのぐちゃぐちゃな口語(自然文)で喋っても、AIがそれを裏側で解釈して、
- 原因分類: 設定ミス
- タイミング: 立ち上げ時
- 影響: ライン停止
といった具合にピシッと構造化(綺麗なデータに変換)して、データベースへそのままスポッと格納してくれるルールを叩き込みます。
※これは現在検討中です。
⑥ 質問の意図・背景をAIに持たせる
AIにただ「質問して」と頼むだけでは、中身の薄い聞き方になります。「文脈(コンテキスト)」をあらかじめ与えておくのがコツです。 AIに対して、
「あなたは製造業におけるトラブル分析の専門家です。根本原因の追究と、未完了の対策を漏れなく可視化する目的を持って、以下のステップで質問を行ってください」
とキャラクターを定義しておく。こう設定することで、ただの御用聞きではない「プロの設計された聞き方」に変貌します。すごいですよね。
⑦ 不足情報検知(逆質問の本質) 👉 ここが一番のキモ!
「管理職が求める必須情報が揃うまで、AIは勝手に話を終わらせてはならない」という厳しいルールを課します。 原因が未入力なら「原因はどれですか?」、場所が不明なら「どの施設ですか?」と、ヌケモレがゼロになるまでAIが粘り強く、でも優しくエスコートします。
私たちが目指す「設計思想」:AIに答えを出させるな、人間に「考えさせろ」

今回の取り組みを進める中で、私自身、生成AIに対する考え方がガラッと変わりました。たどり着いたのは、以下の4つの設計思想です。
- 「入力UIをAIにする」: めんどくさい画面入力(フォーム)を廃止し、会話でデータを入れる。
- 「人に考えさせる設計」: これが一番重要です。AIに答えを出してもらうんじゃなく、適切な逆質問をされることで、現場の人間に当時の状況を「しっかり思考させる」んです。
- 「回答=資産」: AIとの何気ない会話ログそのものが、そのままBI(ビジネスインテリジェンス)に直結する、会社の貴重なデータ(資産)になる。
- 「一発で完璧に取らない」: 最初の入力は適当でいい。対話を重ねて小さく聞きながら、徐々に精度を上げていく。
これらを一言で言語化するなら、ズバリ「対話型データ収集エージェント設計」とでも命名しましょうか。
まとめ:現場のオッサンが夢見る、少し先の未来
このシステムが完成したら、会社の業務はどう変わるでしょうか。
現場の作業員は、トラブルが起きたらスマホに向かって、まるで同僚に報告するかのように状況をブツブツと喋るだけ。AIからの「これってどうなってます?」という逆質問にいくつか答えていけば、いつの間にか完璧な報告書が裏で刷り上がっています。
そして、その報告書が回ってきた管理職は、もう「これいつ起きたん?」なんていう低次元な事実確認の質問をする必要はありません。最初から100%の精度で書かれた書類を前にして、 「よし、原因がこれなら、次はこっちの設備の点検周期も見直した方がええな」 という、本当に価値のある『深い検討と対策』に、最初から100%のエネルギーを注ぎ込むことができるようになります。
これこそが、私が目指している「テクノロジーを使った業務改革」の本質です。
有名大学卒の高名な学者先生や、バリバリのITベンダーが作るシステムも凄いですけど、現場のオッサンが「うちの管理職と現場をラクにしたいねん!」という執念だけで作るAIシステムっていうのも、なかなか面白いと思いませんか?
まだテスト段階ですが、形になってきたらまたこちらのブログで進捗をお伝えしますね。
現場からは以上です。それでは、今日もご安全に!


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